昨日、ダンナが吉野家の牛丼を買ってきてくれた。

一日限りの復活

人々がその味を求めて狂ったように殺到し

心から味わった、らしい。

ダンナも大盛り3杯食べてきたそうだ。

そんなに好きなのですか。

私より吉牛を愛してる?

そんなわけないけどね

アメリカ生まれの牛肉達よ

早く日本の地に来たれ

きみらを愛して止まない日本人が待っている。




私は、近所のお肉屋さんの牛丼のほうが好きだ。

毎日のご飯のおかずを考えるのは苦痛を伴う。

主婦(主夫)なら誰でもわかるよね。

いや、料理大好きな人はいい

それだけで、毎日しあわせ

でも、私ははっきり言って好きじゃない。

凝った料理も作ったことがあるけれど

そんなのは長続きしない。

自分の食べたいものを食べたい時に食べたいだけ

食べる

そんなことに憧れる私は

それでもやっぱり主婦なのだ。


簡単な定番料理を毎日作り

たまには家族の為のご馳走もつくってあげるよ。

さあ、リクエストはなあに?

それは不意にやってくる。

私のお腹の奥の方から

ねずみ色の雨雲がもくもくと湧いてくるように

それは「不安」だ。

死に対するの恐怖、生きていくことへの絶望

取り留めのない、漠然とした不安

その湿った冷たい雲は少しずつカラダに広がり

私の手の指先の体温を奪う。

気が付くと手のひらは、冷たい汗でじっとりと濡れているのだ。


私は心臓と喉を圧迫する雲の塊に耐えられず

立ち上がって早足で洗面所に向かう。

微かに震える手で常にそこに置いてある

白い錠剤を取り出すと、冷たい水で喉に流し込むのだ。

白い太陽

カラダの中いっぱいに広がった雨雲を晴らす

ゆっくりと

大丈夫、力を抜いて

呼吸が楽になってくるから


不安の塊に押しつぶされてしまう前に

私は自分を守る



一度パソコンの前に座り込むと

次に立ち上がるのに相当の勇気を必要とする。

デジタルな画面の向こう側に広がる

バーチャルな世界から抜け出せなくなるので。

それはちょっとマズイ、と思う。

たださえ自分の立っている位置がどこなのか

わからない人間にとっては。

そこにいるのは、私

本当の私

ここに座っているのは、私のカラダ

呼び寄せて。

私のカラダに戻っておいで。

その度に少なくない痛みを感じるとしても。

家族の成長を撮りつづけた8ミリビデオを整理している。

黒い箱の中で10年も前の自分が動いているのを見るのは

不思議な気分だ。

自分自身をそこここに置き去りにして

今の私があるのだろうか。

まだまだ幼い子どもたちが

レンズの向こう側からとびきりの笑顔で語りかけているよ。

真夜中に目が覚めてしまった時ほど

不安なことは無い。

今さっきまで見ていた夢がまとわりついて

現実とそうでない世界の境界線を

滲ませる。


私はどこにいるのか

この私は本当に私なのか

この暗闇を抜けて 

明日という日が訪れるのか

希望という言葉に意味はあるのか


狂気の影から逃げるように

私は私をひきずって夜の闇を彷徨う

ただ、時間が流れていくのは

確かなことだから


いつかは終わりが来るという希望

を胸に抱え込む。





折れ線グラフで気分を表したら

今日の私は、真ん中をスッと走る

0〔ゼロ〕の線を、斜め下に滑降して

-〔マイナス〕の領空に停滞しているカンジ


いつも青空を高い高度で飛んでいるわけには

いかない。


昨日が節分で、今日から春ですと言われても

今にも雪の塊が落っこちてきそうな空を

見上げたら、気持ちも寒さで震える。


でもいつか春はくるはずだから

折れ線グラフも角度を変えるはずだから

焦らない。急がない。


お昼に食べたプチチョコケーキ

甘くて、おいしかった。

それで、いいや。

コーヒーとトースト

私のいつもの朝ごはん

コーヒーはインスタント

砂糖はなしで牛乳を少し入れる。

トーストはマーガリンをたっぷり塗って

時々、スライスチーズをのせたり

甘いものが食べたい時は

マヨネーズにシュガーをトッピング


それが一日のはじまり




ソフィーのように、ある日突然呪いをかけられたら

どうなるだろう。

若い娘がおばあさんになる魔法

あれは、心の年齢が表に表れる魔法だ。

私は何歳に見える?

きっとものすごいおばあちゃんだろうなあ。

いや、意外と若返ったりして。

3歳児くらいまで。



そんな魔法なら実は誰にでも使えるのかもしれない。

その気になれば、20歳若返って

街を闊歩することも

40歳年取って、縁側にたたずむことも

今すぐできる。



とりあえず、今の私の今日が始まる。

さあ、ソフィーになって

私の小さなお城の掃除でもはじめようか。


今朝、目を覚ましたら雪が降っていた。

朝の淡い光をキラキラと反射して

氷を細かく削ったような雪が

北の空から斜めに降っていた。

昼を過ぎても、まだ止まない。

今度は綿アメを指先でつまんだような雪が

ふわふわと落ちてきた。


雪は静かに降る。

空に漂っている間に音を吸い込んでいるようだ。

雪が降る空を見上げると

まるで自分が空に向かって飛んでいるような感覚。

誰もが一度は、雪を見上げる。

この白く儚いものがどこから落ちてくるのかと。


葉の落ちた街路樹は白い毛皮で覆われているようで

暖かそうな気さえした。